癒しの仏像 馬頭観音 |
頭上に馬頭をのせて、眉をつり上げて怒ったような顔をしていらっしゃるかわいい仏像です。天馬のように縦横無尽に駆け回り、いかなる煩悩も食い尽くすということで早くから造られました。家畜やペットの供養本尊として、また病気平癒の霊験が強く難病などの平癒に信仰されています。 |
観音菩薩、馬頭観音霊験記4口のきけない京の娘が石山寺のに祈願して話せるようになり幸福な結婚をした話。この段では、かわいい仏像を信仰し馬頭観音像に救われた話である。 |
今は昔、口のきけない京の娘がいたが、父母は既になくなり乳母が面倒を見ていた。 まだ若くて美しいからと、ある人の取り持ちで男と結婚した。しかし女は夫に唖者ということを知られ自分から石山寺に身を隠してしまった。石山寺の観音菩薩に「観音様は叶いがたい願いをお叶えくださると聞いています。どうか、この病をお救いください」と寺に籠もって数日祈願していると、ちょうど参詣に来ていた比叡山の行者に加持を受け話せるようになった。これは長年の悪霊のしわざであった。 女は涙ながらに喜び、お礼にと行者に水晶の数珠を贈った。 一方、夫はこの女をどうしても捜し出せず道心を起こしてあちこちの霊場を参詣していたが、比叡山に詣った時、先ほどの行者と出会い水晶の数珠を見かけたので女が石山寺にいのを知り、ついに夫婦のよりを戻した。「これも観音さまのご利益である」と思って馬頭観音像をお祀りし仏像に癒されながら夫婦ともいっそう観音さまにお仕えしたと伝える。 (今昔物語巻16の22) |
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